光がんざき亭

光で演芸のお楽しみを! 生の落語や浪曲、講談、演芸に触れる機会が少ないなら、その機会をつくっちゃお! だって、演芸が好きだから。 ふだんのまちの中に、演芸というお楽しみをみなさまと一緒に作り育ていきたい。 どうぞ光がんざき亭へお運びくださいませ

おてらでらくご 開催しました

梅雨の真っ只中、お天気が心配でしたが、6月18日土曜日は、雨もやみました。

強力な晴れ人間がいるに違いないと思ったら、本日出演の春風亭一蔵さんが晴れ男と判明。

 

まずは前座をつとめるのは 加藤住職。

お話は「仏教って面白い!」

 

戒律では飲んではいかんとなっているお酒だけど、

般若湯」といって嗜むお坊さんも多い。

中には嗜むどころでない坊さんもいたりする。

ビールは「泡般若」、

麦焼酎ならぬ「麦般若」や「米般若」といったものもありと、

いかにお酒が好きという話で笑わせながら、

本題のお釈迦さまの話へ。

29歳で出家したお釈迦様=ゴータマシッタールダの生涯の話から、

仏教の教えは俗世間の中で生きることの中に本質的なことがある、、、

お寺というと、とかくお葬式のイメージがあるけれど、

本来は今日のように人が集まる場所である、、、などなど

前座の話はこのくらいにして、

落語会のはじまりはじまり

 

紀州 一蔵 

替り目 小辰

お仲入り

高砂や 小辰

竹の水仙 一蔵

 

 

今年の秋、9月21日から真打に昇進することが決まっているお二人。見た目の雰囲気も、性格も違うようなお二人ですが、住職の話からの良い流れをうけて、観客をうまくのせる話芸を繰り広げます。

自己紹介ののっけから観客の聴く耳をまとめつつ、まくら(本題の話に入る前にする軽いおしゃべり)では小噺で笑いをとり、上手く落語のネタに入っていきます。

 

小辰さんの1席目は酔っ払いの亭主とおかみさんとのやり取りがおもしろい『替り目』。寄席でもよく聞く噺ですが、小辰さんは表情に他の人はやらない独自の工夫があって、聴かせます。どんな工夫かは、見たことない人のために内緒にしておきます。

2席目は『高砂や』。婚礼の席で謡われる『高砂』をご隠居さんに習うけれど、うまくいかない。小辰さんは声の良さを活かして、謡や物売り声を聴かせます。

 

一蔵さんの1席目は早世した7代将軍の後、だれが次の将軍になるのか、その騒動を題材にした『紀州』。語りで話を進めながら、くすぐり(話の中にいれる軽いギャグ)を入れつつ、聴かせます。

2席目は、江戸時代の名工「左甚五郎」の噺の一つ『竹の水仙』。文無しの泊り客が宿代のためにこしらえたのは、竹で作った水仙の花。これが見事に開いて、、、

話がすすんだところで、会場から携帯電話が鳴りだしてしまいました。話に集中していた会場の緊張が一瞬ほどけてしまいましたが、そこは一蔵さん、そのハプニングをいじりつつ、ちょっと声を大きくして「はい!こっち集中!」と笑いを取り、再び集中を高めてから噺の終盤へ。さすがの力業で、聴かせてくれました。

 

噺に独自の工夫を凝らすところや、ハプニングにも機転が利くところが、真打昇進の証でしょう。

また、住職の話からの流れを受けて、世間話のようにさりげなく落語の世界に観客をいざなっていくお二人の話芸は、心地よくゆったりと、ふふふと笑い、あははと笑い、幸せな気分になっていきました。

小辰さんは、押しがそんなに強いわけではないのに、くすっと笑っているうちに、落語の世界に自分も入っていった気分になりました。しぐさやものの言いようで人物を巧みに演じ分け、謡や物売り声では声の良さが、光ります。よく演じられる噺でも、独自の工夫で笑わせるところはさすがだなぁと思いました。

一蔵さんは「趣味はダイエット、特技はリバウンド」と自己紹介され、見た目その通りな様相に笑っているうちに、豪放な雰囲気そのままの落語の世界へ引き込まれていきました。見た目の豪放さとは裏腹に、話の中で見せる細かいしぐさがきっちりとしていて、光ります。途中、携帯電話の呼出音がなった時も、一瞬解けそうになった観客の集中力を再び高める力技はさすがだなぁと思いました。

これからの活躍が期待される楽しみなお二人に、梅雨時季を忘れさせてくれる、明るく朗らかなひとときとなりました。

 

会の終わりには恒例のじゃんけん大会。

住職に勝ち続けたお一人に色紙がプレゼントされました。